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部門別計算の流れ

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簿記(TOP)>工業簿記2級>部門別計算の流れ

部門別計算の流れについてお伝えします。

部門別計算の流れ

部門別計算の流れは以下のような手順で行われます。

  1. 製造間接費を各部門(製造部門と補助部門)に集計
  2. 補助部門費を製造部門に配賦
  3. 製造部門に集計された製造間接費(製造部門費)を各製品に配賦

以下詳しく説明します。

1.製造間接費を各部門に集計

まず最初に、製造間接費を各部門に集計します。
この際に製造間接費を部門個別費と部門共通費に分け、部門個別費は特定部門に賦課し、部門共通費は各部門に配賦します。

このように各部門に集計することを部門費の第1次集計といいます。
この第1次集計では部門費配分表を作成します。

部門個別費

特定の部門だけに発生し、その部門に直接集計できる費目を部門個別費といいます。

特定の部門で使われる材料や特定の部門で働いている工員の賃金、特定の部門にしかない機械の減価償却費などが部門個別費になります。

部門共通費

各部門に共通に発生し、どの部門で発生したか、直接には分からない費目を部門共通費といいます。

電気代や水道代などが部門共通費になります。

2.補助部門費を製造部門に配賦

部門費配分表を作成したら、次に補助部門に集計された製造間接費を製造部門に配賦します。
補助部門は製品の製造に直接関わっていないので、補助部門に集計された製造間接費を直接製品に配賦するわけにはいきません。

そこで、一度製造部門に配賦し、製造部門を通じて各製品に配賦することになります。

補助部門費の製造部門への配賦の計算は部門費振替表(部門費配賦表)を作成して行います。

このように補助部門費を製造部門に配賦することを部門費の第2次集計といいます。

ちなみに、補助部門費を製造部門に配賦する方法には「直接配賦法」「階梯式配賦法」「相互配賦法(簡便法)」「相互配賦法(連続配賦法)」といった方法がありますが、この中で簿記2級の範囲になっているのが「直接配賦法」と「相互配賦法(簡便法)」の2つです。
詳しくは後日お伝えします。
今回は概要だけつかんでもらえれば十分です。

3.製造部門に集計された製造間接費を各製品に配賦

各製造部門には、部門費の第1次集計と第2次集計の手続を終えて、製造間接費が集計されてきています。
この集計されてきている製造間接費を製品に配賦します。
この配賦は実際配賦による場合と予定配賦による場合の2つがあります。
実際配賦と予定配賦については後日お伝えします。
今回は概要だけつかんでおいてください。

勘定連絡図

部門別原価計算を勘定連絡図で示すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図5

それぞれの番号が部門別計算の流れに対応しています。
詳細は後日お伝えします。
今回は概要だけイメージしておいてください。

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製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の具体例

製造間接費の各部門に集計(第1次集計)について具体例を使ってお伝えします。
部門費配分表の作成します。

資料

1.製造間接費合計額…443,500円

2.製造間接費の内訳

(A)部門個別費

費用 合計 製造部門 補助部門
切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
間接材料費 100,000 40,000 45,000
15,000
間接労務費 150,000 62,500 50,000 12,500 25,000
間接経費 80,000 25,000 25,000 12,500 17,500

(B)部門共通費

費目 合計 配賦基準
建物減価償却費 66,000 床面積
福利費 24,000 従業員数
電力量 23,500 機械運転時間

(C)部門共通費の配賦基準

配賦基準 合計 製造部門 補助部門
切削部門 組立部門 動力部門 修繕部門
床面積(平方メートル) 88 30 40 8 10
従業員数(人) 48 20 16 4 8
機械運転時間(時間) 470 160 130 100 80

部門費配分表

暗記不要の簿記独学講座-部門費配分表

部門費配分表は上のようになります。

部門個別費については、基本的に(A)部門個別費をそのまま記入しておけば大丈夫です。
小計の欄は縦に合計した金額を記入します。

部門共通費については、それぞれ配賦基準にもとづいて配賦します。

建物減価償却費

それぞれの部門の建物減価償却費を計算します。

  1. 建物減価償却費の合計額を配賦基準である床面積の合計数値で割ることで、床面積1㎡あたりの建物減価償却費を求めます。
  2. 床面積1㎡あたりの建物減価償却費にそれぞれの部門の床面積をかけることでそれぞれの部門の建物減価償却費を求めます。

具体的に数字で計算してみます。

  1. 床面積1㎡あたりの建物減価償却費(750円/平方メートル)=建物減価償却費合計(66,000円)÷床面積合計(88平方メートル)
    • 切削部門の建物減価償却費(22,500円)=床面積1㎡あたりの建物減価償却費(750円/平方メートル)×切削部門の床面積(30平方メートル)
    • 組立部門の建物減価償却費(30,000円)=床面積1㎡あたりの建物減価償却費(750円/平方メートル)×切削部門の床面積(40平方メートル)
    • 動力部門の建物減価償却費(6,000円)=床面積1㎡あたりの建物減価償却費(750円/平方メートル)×切削部門の床面積(8平方メートル)
    • 修繕部門の建物減価償却費(7,500円)=床面積1㎡あたりの建物減価償却費(750円/平方メートル)×切削部門の床面積(10平方メートル)

となります。

電卓の上手な使い方

この計算は定数乗算 を利用することで素早く計算することができます。

66000÷88×30=と入力することで切削部門の建物減価償却費22,500が求まります。
この数字を記入した後、連続して40=と入力すれば組立部門の建物減価償却費30,000が、8=と入力すれば動力部門の建物減価償却費6,000が、10=と入力すれば修繕部門の建物減価償却費7,500が求まります。

66000÷88×30=40=8=10=

と入力するだけで全ての数字を求めることができます。

福利費

それぞれの部門の福利費を計算します。

  1. 福利費の合計額を配賦基準である従業員数の合計数値で割ることで、従業員1人あたりの福利費を求めます。
  2. 従業員1人あたりの福利費にそれぞれの部門の従業員数をかけることでそれぞれの部門の福利費を求めます。

具体的に数字で計算してみます。

  1. 従業員1人あたりの福利費(500円/人)=福利費合計(24,000円)÷床面積合計(48平方メートル)
    • 切削部門の福利費(10,000円)=従業員1人あたりの福利費(500円/人)×従業員数(20人)
    • 組立部門の福利費(8,000円)=従業員1人あたりの福利費(500円/人)×従業員数(16人)
    • 動力部門の福利費(2,000円)=従業員1人あたりの福利費(500円/人)×従業員数(4人)
    • 修繕部門の福利費(4,000円)=従業員1人あたりの福利費(500円/人)×従業員数(8人)

となります。

電卓の上手な使い方

この計算は定数乗算を利用することで素早く計算することができます。

24000÷48×20=と入力することで切削部門の福利費10,000が求まります。
この数字を記入した後、連続して16=と入力すれば組立部門の福利費8,000が、4=と入力すれば動力部門の福利費2,000が、8=と入力すれば修繕部門の福利費4,000が求まります。

24000÷48×20=16=4=8=

と入力するだけで全ての数字を求めることができます。

電力料

それぞれの部門の電力料を計算します。

  1. 電力料の合計額を配賦基準である機械運転時間の合計数値で割ることで、機械運転時間1時間あたりの電力料を求めます。
  2. 機械運転時間1時間あたりの電力料にそれぞれの部門の機械運転時間をかけることでそれぞれの部門の電力料を求めます。

具体的に数字で計算してみます。

  1. 機械運転時間1時間あたりの電力料(50円/時間)=電力料合計(23,500円)÷機械運転時間合計(470平方メートル)
    • 切削部門の電力料(8,000円)=機械運転時間1時間あたりの電力料(50円/時間)×機械運転時間(160時間)
    • 組立部門の電力料(6,500円)=機械運転時間1時間あたりの電力料(50円/時間)×機械運転時間(130時間)
    • 動力部門の電力料(5,000円)=機械運転時間1時間あたりの電力料(50円/時間)×機械運転時間(100時間)
    • 修繕部門の電力料(4,000円)=機械運転時間1時間あたりの電力料(50円/時間)×機械運転時間(80時間)

となります。

電卓の上手な使い方

この計算は定数乗算を利用することで素早く計算することができます。

23500÷470×160=と入力することで切削部門の電力料8,000が求まります。
この数字を記入した後、連続して130=と入力すれば組立部門の電力料6,500が、100=と入力すれば動力部門の電力料5,000が、80=と入力すれば修繕部門の電力料4,000が求まります。

23500÷470×160=130=100=80=

と入力するだけで全ての数字を求めることができます。


最後に部門共通費のそれぞれの部門の合計を小計の段に記入し、部門個別費の小計と部門共通費の小計を合計して部門費合計を記入して部門費配分表を完成させます。

製造間接費を各部門に集計する仕訳

上の例題の仕訳について考えてみましょう。

製造間接費を各部門に振り替えます。
部門費配分表より、切削部門の部門費は168,000円、組立部門の部門費は164,500円、動力部門の部門費は38,000円、修繕部門の部門費は73,000円となります。
これらの各部門費に製造間接費443,500円を振り替えるので、

(借)切削部門費 168,000/(貸)製造間接費 443,500
(借)組立部門費 164,500/
(借)動力部門費  38,000/
(借)修繕部門費  73,000/

となります。

製造間接費を各部門に集計する仕訳の勘定連絡図での流れ

上の仕訳を勘定連絡図で表すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図6

勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

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補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)の様々な方法

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >補助部門費の製造部門への配賦(第2次…

原価部門の分類 で補助部門費の製造部門への配賦には様々な方法があるとお伝えしました。
今回は補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)の様々な方法について詳しくお伝えします。

補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)の様々な方法

補助部門は直接製品を製造することはないので、一度製造部門に集計して、製造部門から製品への配賦することになります。
しかし、この補助部門から製造部門への配賦は簡単にはいきません。
具体的に考えてみましょう。

製造部門として「切削部門」と「組立部門」が、補助部門として「動力部門」と「修繕部門」があるとします。
動力部門も修繕部門も切削部門と組立部門を補助しているので、その部分の配賦は問題ありません。

問題は動力部門と修繕部門の間で補助している部分をどうするかです。
動力部門は修繕部門にある機械の動力を提供しているでしょうし、動力部門が故障した場合には修繕部門が修理するでしょう。
つまり、この補助部門同士はお互いに補助し合っているのです。

暗記不要の簿記独学講座-補助部門費の製造部門への配賦

この補助部門同士の配賦は理論上はお互いに配賦しあうことになります。
しかし、お互いに配賦することを続けた場合、いつまでたっても補助部門の配賦が終わりません
製造部門に全ての金額が集まることがないのです。

そこで、いろいろな方法が使われることになります。
簿記2級ではこのうち、「直接配賦法」と「相互配賦法(簡便法)」の2つが出題されます。
以下詳しくご説明します。

直接配賦法

補助部門同士でのやりとりを全く無視して補助部門費を製造部門だけに配賦する方法です。
直接配賦法は最も計算が楽ですが、補助部門同士のやりとりを無視するため製造の実態を表さないという欠点があります。
暗記不要の簿記独学講座-相互配賦法(簡便法)

図で表すと上のようになります。
このような配賦の方法を直接配賦法といいます。

相互配賦法(簡便法)

相互配賦法では補助部門同士のやりとりを考慮します。
よって補助部門費を製造部門だけではなく他の補助部門にも配賦することになります。

しかし他の補助部門にも配賦することで、この配賦が終わったあとも補助部門に金額が残ることになります。
この残った分はもう一度配賦しなければなりません。
しかし、2回目の配賦も同じように配賦すると、また補助部門に金額が残ります。

これでは何回繰り返しても全ての金額が製造部門に集計されません。
そこで、1回目は他の補助部門にも配賦しますが、2回目には直接配賦法と同じように他の補助部門は無視して製造部門だけに配賦します

暗記不要の簿記独学講座-相互配賦法(簡便法)

図で表すと上のようになります。
この配賦の方法を相互配賦法(簡便法)といいます。

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補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)(直接配賦法)の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >補助部門費の製造部門への配賦(第2次…

補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計) について具体例を使ってお伝えします。
今回は直接配賦法についてお伝えします。

資料(製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の具体例 の続き)

(A)各部門費

  • 部門費合計:443,500円
  • 切削部門費:168,000円
  • 組立部門費:164,500円
  • 動力部門費: 38,000円
  • 修繕部門費: 73,000円

(B)補助部門費の配賦基準

  • 動力部門費の配賦基準:機械時間
  • 修繕部門費の配賦基準:修繕時間
配賦基準 切削部 組立部 動力部 修繕部
機械時間 1,000時間 900時間 450時間 350時間
修繕時間 960時間 865時間 425時間 300時間

補助部門費の製造部門への配賦は直接配賦法とする。

部門費振替表

上の資料をもとに部門費振替表を作成してみましょう。

暗記不要の簿記独学講座-部門費振替表

部門費振替表は上のようになります。

部門費合計の段の金額は資料をそのまま記入します。
問題は修繕部門費の段と動力部門費の段になります。

動力部門費の配賦

動力部門費38,000円を切削部門と組立部門に配賦します。
直接配賦法なので動力部門が修繕部門に供給した分は無視します
また、動力部門が動力部門に供給した分も無視します

つまり、資料(B)の機械時間の段の動力部450時間と修繕部350時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、動力部門費は切削部門と組立部門の配賦基準の比で分けられることになります。

  • 機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)=修繕部門費38,000円÷(切削部の機械時間1,000時間+組立部の機械時間900時間)
  • 切削部門に配賦する動力部門費(20,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×切削部の機械時間(1,000時間)
  • 組立部門に配賦する動力部門費(18,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×組立部の機械時間(900時間)

となります。

修繕部門費の配賦

修繕部門費73,000円を切削部門と組立部門に配賦します。
直接配賦法なので修繕部門が動力部門を修繕した分は無視します
また、修繕部門が修繕部門を修繕した分も無視します

つまり、資料(B)の修繕時間の段の動力部425時間と修繕部300時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、修繕部門費は切削部門と組立部門の配賦基準の比で分けられることになります。

  • 修繕時間1時間あたりの修繕部門費(40円/時)=修繕部門費73,000円÷(切削部の修繕時間960時間+組立部の修繕時間865時間)
  • 切削部門に配賦する修繕部門費(38,400円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(40円/時)×切削部の修繕時間(960時間)
  • 組立部門に配賦する修繕部門費(34,600円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(40円/時)×組立部の修繕時間(865時間)

となります。

後は、切削部と組立部を縦に合計して製造部門費の段を求めれば部門費振替表の完成となります。

ちなみに合計の段を縦に合計しないように気をつけてください。
ここを合計して求まる数字には何の意味もないため、縦には合計しません。
合計の段の一番下は部門費の合計である443,500が入ります。

また、部門費振替表の最上段の部門費合計と部門費配分表の最下段の部門費合計は全く同じになるという点も確認しておいてください。

補助部門費を製造部門へ配賦する仕訳

上の例題の仕訳について考えてみましょう。

補助部門費を製造部門に配賦します。
製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の仕訳は

(借)切削部門費 168,000/(貸)製造間接費 443,500
(借)組立部門費 164,500/
(借)動力部門費  38,000/
(借)修繕部門費  73,000/

となっています。
この中の『(借)動力部門費38,000』『(借)修繕部門費73,000』を切削部門と組立部門に振り替えることになります。
動力部門から切削部門に20,000円、組立部門に18,000円振り替えるので、

(借)切削部門費 20,000/(貸)動力部門費 38,000
(借)組立部門費 18,000

修繕部門から切削部門に38,400円、組立部門に34,600円振り替えるので、

(借)切削部門費 38,400/(貸)修繕部門費 73,000
(借)組立部門費 34,600

となります。
また、これらの仕訳をまとめて、

(借)切削部門費 58,400/(貸)動力部門費 38,000
(借)組立部門費 52,600/(貸)修繕部門費 73,000

としても構いませんが、ここまでまとめることはあまりありません。

この仕訳を切った結果、動力部門費と修繕部門費の勘定がなくなり、全てが切削部門費と組立部門費に配賦されていることを確認しておいてください。

補助部門費を製造部門に配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ

上の仕訳を勘定連絡図で表すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図7

勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

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補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)(簡便法による相互配賦法)の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >補助部門費の製造部門への配賦(第2次…

補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計) について具体例を使ってお伝えします。
今回は相互配賦法(簡便法)についてお伝えします。

資料(製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の具体例 の続き)

(A)各部門費

  • 部門費合計 443,500円
  • 切削部門費 168,000円
  • 組立部門費 164,500円
  • 動力部門費  38,000円
  • 修繕部門費  73,000円

(B)補助部門費の配賦基準

  • 動力部門費の配賦基準:機械時間
  • 修繕部門費の配賦基準:修繕時間
配賦基準 切削部 組立部 動力部 修繕部
機械時間 900時間 600時間 250時間 400時間
修繕時間 1,000時間 1,000時間 920時間 360時間

補助部門費の製造部門への配賦は相互配賦法(簡便法)とする。

部門費振替表

上の資料をもとに部門費振替表を作成してみましょう。

暗記不要の簿記独学講座-部門費振替表2

部門費振替表は上のようになります。

部門費合計の段の金額は資料をそのまま記入します。
問題はその下からになります。

第一次配賦

動力部門費の配賦

動力部門費38,000円を切削部門と組立部門と修繕部門に配賦します。
相互配賦法(簡便法)なので動力部門が修繕部門に供給した分もきちんと考慮します
ただし、動力部門が動力部門に供給した分は無視します

つまり、資料(B)の機械時間の段の動力部250時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、動力部門費は切削部門と組立部門と修繕部門の配賦基準の比で分けられることになります。

  • 機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)=修繕部門費38,000円÷(切削部の機械時間900時間+組立部の機械時間600時間+修繕部の機械時間400時間)
  • 切削部門に配賦する動力部門費(18,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×切削部の機械時間(900時間)
  • 組立部門に配賦する動力部門費(12,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×組立部の機械時間(600時間)
  • 修繕部門に配賦する動力部門費(8,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×組立部の機械時間(400時間)

となります。

修繕部門費の配賦

修繕部門費73,000円を切削部門と組立部門と動力部門に配賦します。
相互配賦法(簡便法)なので修繕部門が動力部門供給した分もきちんと考慮します
ただし、修繕部門が修繕部門を修繕した分は無視します

つまり、資料(B)の修繕時間の段の修繕部360時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、修繕部門費は切削部門と組立部門と動力部門の配賦基準の比で分けられることになります。

  • 修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)=修繕部門費73,000円÷(切削部の修繕時間1,000時間+組立部の修繕時間1,000時間+動力部の修繕時間920時間)
  • 切削部門に配賦する修繕部門費(25,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)×切削部の修繕時間(1,000時間)
  • 組立部門に配賦する修繕部門費(25,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)×組立部の修繕時間(1,000時間)
  • 動力部門に配賦する修繕部門費(23,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)×組立部の修繕時間(920時間)

となります。

後は、それぞれの動力部門費と修繕部門費を合計して第一次配賦計とします。

第二次配賦

第二次配賦は直接配賦法と同じになります。

動力部門費の配賦

動力部門費23,000円を切削部門と組立部門に配賦します。
直接配賦法と同じなので動力部門が修繕部門に供給した分は無視します
また、動力部門が動力部門に供給した分も無視します

つまり、資料(B)の機械時間の段の動力部250時間と修繕部400時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、動力部門費は切削部門と組立部門の配賦基準の比で分けられることになります。

  • 機械時間1時間あたりの動力部門費(15.333…円/時)=修繕部門費23,000円÷(切削部の機械時間900時間+組立部の機械時間600時間)
  • 切削部門に配賦する動力部門費(13.800円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(15.333…円/時)×切削部の機械時間(900時間)
  • 組立部門に配賦する動力部門費(9,200円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(15.333…円/)×組立部の機械時間(600時間)

となります。
機械時間1時間あたりの動力部門費が割り切れていませんが、それぞれの動力部門費の段階ではきちんと整数で金額が求まっています。
このような出題もあるので、割り切れなかったからといって計算ミスだとは必ずしも言えません。

修繕部門費の配賦

修繕部門費8,000円を切削部門と組立部門に配賦します。
直接配賦法と同じなので修繕部門が動力部門を修繕した分は無視します
また、修繕部門が修繕部門を修繕した分も無視します

つまり、資料(B)の修繕時間の段の動力部920時間と修繕部360時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、修繕部門費は切削部門と組立部門の配賦基準の比で分けられることになります。

  • 修繕時間1時間あたりの修繕部門費(4円/時)=修繕部門費8,000円÷(切削部の修繕時間1,000時間+組立部の修繕時間1,000時間)
  • 切削部門に配賦する修繕部門費(4,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(4円/時)×切削部の修繕時間(1,000時間)
  • 組立部門に配賦する修繕部門費(4,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(4円/時)×組立部の修繕時間(1,000時間)

となります。

後は、それぞれの動力部門費と修繕部門費を合計して第二次配賦計とします。
その後、切削部と組立部の「部門費合計」「第一次配賦計」「第二次配賦計」を合計して製造部門費合計の段の切削部と組立部の金額を求め、それらを加えて合計の段の製造部門費合計の金額を求めます。

補助部門費を製造部門へ配賦する仕訳

上の例題の仕訳について考えてみましょう。

第一次配賦では補助部門費を製造部門と自分以外の補助部門に配賦します。
製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の仕訳は

(借)切削部門費 168,000/(貸)製造間接費 443,500
(借)組立部門費 164,500/
(借)動力部門費  38,000/
(借)修繕部門費  73,000/

となっています。
この中の『(借)動力部門費38,000』を切削部門に18,000円、組立部門に12,000円、修繕部門に8,000円振り替えるので

(借)切削部門費 18,000/(貸)動力部門費 38,000
(借)組立部門費 12,000/
(借)修繕部門費  8,000

となります。
同様に『(借)修繕部門費73,000』を切削部門に25,000円、組立部門に25,000円、動力部門に23,000円振り替えるので

(借)切削部門費 25,000/(貸)修繕部門費 73,000
(借)組立部門費 25,000/
(借)動力部門費 23,000

となります。

これまでの仕訳をまとめると、

(借)切削部門費 211,000/(貸)製造間接費 443,500
(借)組立部門費 201,500/
(借)動力部門費  23,000/
(借)修繕部門費  8,000/

となります。
動力部門費と修繕部門費は一度他の部門に配賦されたのですが、他の補助部門からもう一度配賦されてきているので金額が0になっていません。
そこで、もう一度補助部門を配賦しなければなりません。
相互配賦法(簡便法)では、2回目の配賦は直接配賦法と同じになるので、2回目の配賦で補助部門の金額は0になります。

第二次配賦では『(借)動力部門費23,000』を切削部門に13,800円、組立部門に9,200円振り替えるので、

(借)切削部門費 13,800/(貸)動力部門費 23,000
(借)組立部門費  9,200/

同様に『(借)修繕部門費8,000』を切削部門に4,000円、組立部門に4,000円振り替えるので

(借)切削部門費 4,000/(貸)修繕部門費 8,000
(借)組立部門費 4,000/

となります。

また、これらの仕訳をまとめて、

(借)切削部門費 60,800/(貸)動力部門費 38,000
(借)組立部門費 50,200/(貸)修繕部門費 73,000

としても構いませんが、ここまでまとめることはあまりありません。

この仕訳を切った結果、動力部門費と修繕部門費の勘定がなくなり、全てが切削部門費と組立部門費に配賦されていることを確認しておいてください。

補助部門費を製造部門に配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ

上の仕訳を勘定連絡図で表すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図8

かなり入り組んでいますが、勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

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製造部門費の製品(製造指図書)への配賦

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >製造部門費の製品(製造指図書)への配賦

製造部門費の製品(製造指図書)への配賦についてお伝えします。

製造部門費の製品(製造指図書)への配賦

製造間接費を各部門へ集計(第一次集計)し、補助部門費を製造部門へ配賦(第二次集計)したことで、切削部門や組立部門といった各製造部門には製造間接費が集計されています。
この各製造部門に集計されている製造間接費を製品(この時点ではまだ未完成なので仕掛品)に配賦します。
この手続を行うことで製造間接費が仕掛品に振り替えられます。

製造部門費の製品(製造指図書)への配賦には実際配賦と予定配賦があります。
それぞれの配賦に関しては次回以降詳しくお伝えしていきます。

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦についてお伝えします。

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦

実際配賦の場合は、各製造部門に集計された実際額をそのまま製品(製造指図書)に配賦します
配賦の方法は、製造部門費の合計をその製造部門の配賦基準数値の合計で割ることで配賦率を求め、この配賦率をもとに製品ごとに配賦額を決めます

  • 切削部門の配賦率=切削部門費合計÷切削部門の配賦基準数値の合計
  • 組立部門の配賦率=組立部門費合計÷組立部門の配賦基準数値の合計
  • 製品に配賦する切削部門の配賦額=切削部門の配賦率×その製品に対する切削部門の配賦基準数値
  • 製品に配賦する組立部門の配賦額=組立部門の配賦率×その製品に対する組立部門の配賦基準数値

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦の仕訳

上記の切削部門と組立部門から仕掛品へのは配賦の仕訳は、切削部門費と組立部門費を仕掛品勘定に振り替えることになるので、

(借)仕掛品 ×××/(貸)切削部門費 ×××
             /(貸)組立部門費 ×××

となります。

この仕訳を切ることで、各製品が切削部門と組立部門から受けた作業の割合に応じて各製品に製造間接費を配賦する計算手続が完了します。
また、この仕訳だけでは各製品にいくらずつ製造間接費が配賦されたのか分かりませんが、製造指図書にはきちんと配賦額が記入されます。

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦…

製造部門費の製品(製造指図書)への実際配賦 の具体例についてお伝えします。

資料(補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)(直接配賦法)の具体例の続き)


製造部門費 配賦基準
切削部門費 226,400円 機械時間
組立部門費 217,100円 機械時間

切削部門 組立部門
A製品の製造のために要した機械時間 230時間 70時間
B製品の製造のために要した機械時間 170時間 60時間

上の資料をもとに各製造部門の配賦率と配賦額を求めてみましょう。

各製造部門の配賦率

  • 切削部門の配賦率(566円/時間)=切削部門費合計(226,400円)÷切削部門の配賦基準数値の合計(230時間+170時間)
  • 組立部門の配賦率(1,670円/時間)=組立部門費合計(217,100円)÷組立部門の配賦基準数値の合計(70時間+60時間)

配賦率はその部門が1時間作業をするのにいくらの原価が発生するのかを表していることを確認しておいてください。

各製品に配賦する製造部門費の配賦額

  • A製品に配賦する切削部門の配賦額(130,180円)=切削部門の配賦率(566円/時間)×その製品に対する切削部門の配賦基準数値(230時間)
  • B製品に配賦する切削部門の配賦額(96,220円)=切削部門の配賦率(566円/時間)×その製品に対する切削部門の配賦基準数値(170時間)
  • A製品に配賦する組立部門の配賦額(116,900円)=組立部門の配賦率(1,670円/時間)×その製品に対する組立部門の配賦基準数値(70時間)
  • B製品に配賦する組立部門の配賦額(100,200円)=組立部門の配賦率(1,670円/時間)×その製品に対する組立部門の配賦基準数値(60時間)
  • 切削部門の配賦額の合計が切削部門費(226,400円)に、組立部門の配賦額の合計が組立部門費(217,100円)になることを確認しておいてください。

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳

切削部門費も組立部門費も仕掛品勘定に振り替えるので、

(借)仕掛品 443,500/(貸)切削部門費 226,400
              /(貸)組立部門費 217,100

となります。
この仕訳を切るだけなら配賦率の計算も配賦額の計算も不要なのですが、製造原価をきちんと計算するためには必要です。

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ

上の仕訳を勘定連絡図で表すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図9

勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

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部門別計算の勘定連絡図の流れ(実際配賦)

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >部門別計算の勘定連絡図の流れ(実際配賦)

部門別計算の勘定連絡図の流れ(実際配賦)についてお伝えします。
ここまでで実際配賦の3段階の部門別計算が完了しました。
今回は、これまでバラバラに出てきた勘定連絡図を一度に掲載することで勘定連絡図の流れについて確認しておきます。

部門別計算の勘定連絡図の流れ(実際配賦)


暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図6

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図7

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図9


上のようになります。
どのように勘定連絡図を原価が流れていくのかをきちんとイメージしておくことが重要です。

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦についてお伝えします。

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦

予定配賦の場合は、各製造部門ごとに予定配賦率を使って製品(製造指図書)に配賦します。
配賦差額が発生した場合には、月末に製造間接費配賦差異勘定に振り替えます。

  • 製品に配賦する切削部門の配賦額=切削部門の予定配賦率×その製品に対する切削部門の配賦基準数値
  • 製品に配賦する組立部門の配賦額=組立部門の予定配賦率×その製品に対する組立部門の配賦基準数値

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦の仕訳

上記の切削部門と組立部門から仕掛品への配賦の仕訳は、切削部門費と組立部門費を仕掛品勘定に振り替えることになるので、

(借)仕掛品 ×××/(貸)切削部門費 ×××
          /(貸)組立部門費 ×××

となります。
また、配賦差額が出た場合、その配賦差額が借方差異(不利差異)の場合は、

(借)製造間接費配賦差異 ×××/(貸)切削部門費 ×××
                /(貸)組立部門費 ×××

貸方差異(有利差異)の場合は、

(借)切削部門費 ×××/(貸)製造間接費配賦差異 ×××
(借)組立部門費 ×××/

となります。

この仕訳を切ることで、各製品が切削部門と組立部門から受けた作業の割合に応じて各製品に製造間接費を配賦する計算手続が完了します。
また、この仕訳だけでは各製品にいくらずつ製造間接費が配賦されたのか分かりませんが、製造指図書にはきちんと配賦額が記入されます。

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦…

製造部門費の製品(製造指図書)への予定配賦 の具体例についてお伝えします。

資料(補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)(直接配賦法)の具体例の続き)


製造部門費(実際額) 配賦基準 予定配賦率
切削部門費 226,400円 機械時間 550円
組立部門費 217,100円 機械時間 1,700円
切削部門 組立部門
A製品の製造のために要した機械時間 230時間 70時間
B製品の製造のために要した機械時間 170時間 60時間

上の資料をもとに各製品への予定配賦額を求めてみましょう。

各製品に配賦する製造部門費の配賦額

  • A製品に配賦する切削部門の配賦額(126,500円)=切削部門の配賦率(550円/時間)×その製品に対する切削部門の配賦基準数値(230時間)
  • B製品に配賦する切削部門の配賦額(93,500円)=切削部門の配賦率(550円/時間)×その製品に対する切削部門の配賦基準数値(170時間)
  • A製品に配賦する組立部門の配賦額(119,000円)=組立部門の配賦率(1,700円/時間)×その製品に対する組立部門の配賦基準数値(70時間)
  • B製品に配賦する組立部門の配賦額(102,000円)=組立部門の配賦率(1,700円/時間)×その製品に対する組立部門の配賦基準数値(60時間)

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳

切削部門費の合計額は(126,500円+93,500円=)220,000円、組立部門費の合計額は(119,000円+102,000円=)221,000円です。
切削部門費も組立部門費も仕掛品勘定に振り替えるので、

(借)仕掛品 441,000/(貸)切削部門費 220,000
           /(貸)組立部門費 221,000

となります。

また、予定配賦を行った後、月末に実際額の情報が各製造部門から送られてきます。
その仕訳は、

(借)切削部門費 226,400/(貸)諸口(明細は資料からは不明) 443,500
(借)組立部門費 217,100

となります。
それぞれ配賦差額が出ているので、製造間接費配賦差異勘定に振り替えます。

切削部門費は借方が(226,400円-220,000円=)6,400円多くなっています。
この26,400円を製造間接費配賦差異勘定に振り替えるので、

(借)製造間接費配賦差異 6,400/(貸)切削部門費 6,400

となります。
借方に製造間接費配賦差異勘定が出てきているので借方差異です。

また、予定配賦額が220,000円、実際配賦額が226,400円なので、予定額以上に実際の金額がかかってしまっています。
このように考えて不利差異ということもできます。

次は組立部門費です。
組立部門費は貸方が(221,000円-217,100円)3,900円多くなっています。
この3,900円を製造間接費配賦差異勘定に振り替えるので、

(借)組立部門費 3,900/(貸)製造間接費配賦差異 3,900

となります。
貸方に製造間接費配賦差異勘定が出てきているので貸方差異です。

また、予定配賦額が221,000円、実際配賦額が217,100円なので、予定額以下の金額ですんでいます。
このように考えて有利差異ということもできます。

この仕訳を切るだけなら配賦率の計算も配賦額の計算も不要なのですが、製造原価をきちんと計算するためには必要です。

製造部門費を製品(製造指図書)へ配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ

上の仕訳を勘定連絡図で表すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図10

勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。

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個別原価計算

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >個別原価計算

個別原価計算についてお伝えします。

個別原価計算

原価計算の流れは、以下のようになります。

  1. 1.費目別計算
  2. 2.部門別計算(行わない場合もあります)
  3. 3.製品別計算

この最終段階である3の製品別計算には、個別原価計算と総合原価計算があります。

個別原価計算とは、種類の異なる製品をオーダーメイドで受注生産する企業で使われます。
大量生産ではなく、一つ一つ注文を受けて生産する形態です。

個別原価計算では製品ごとに製造指図書を発行し、この製造指図書をもとに原価計算表を作成して製造原価を計算します。

ちなみに、製造指図書には「注文してきたお客様」「受注した製品の種類」「受注した製品の数量」「製造部署」「完成予定日」などが書かれています。
この製造指図書に製造原価を集計していきます。

個別原価計算による製品別計算

製品別計算では、費目別計算、部門別計算と振り替えられてきた原価を各製品に集計します。

費目別計算、部門別計算と振り替えられてきた製造原価は全て仕掛品勘定に集計されています。
仕掛品という勘定科目はまだ製造途中の製品を意味するので、仕掛品勘定のうち完成した製品については製品勘定に振り替えなければなりません(未完成のものについてはそのまま仕掛品にしておきます)。

ちなみに、完成した製品を製品勘定に振り替える仕訳は

(借)製品 ×××/(貸)仕掛品 ×××

となります。

個別原価計算では、製品に振り替える金額と仕掛品のまま残しておく金額を製造指図書によって把握します。
完成と書かれた製造指図書に集計された金額の合計が完成品原価となり、未完成(仕掛中)と書かれた製造指図書に集計された金額の合計が月末仕掛品原価となります。


このような計算を行うのが個別原価計算における製品別計算です。

指図書別原価計算表と仕掛品勘定

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >指図書別原価計算表と仕掛品勘定

指図書別原価計算表と仕掛品勘定についてお伝えします。

指図書別原価計算表

原価計算表には、直接材料費は直接労務費、製造間接費などの製造原価が集計されています。
集計された製造原価を製造指図書にしたがって製造指図書ごとに原価を計算したものを指図書別原価計算表といいます。

ひな形は下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-指図書別原価計算表

簿記検定では原価計算表といえば、この指図書別原価計算表のことを意味することがほとんどです。

仕掛品勘定

上の原価計算表の記入内容を仕掛品勘定で表せば下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-仕掛品勘定(原価計算表)

原価計算表と仕掛品勘定で金額が一致するところを示すと下の表のようになります。

原価計算表 仕掛品勘定
月初仕掛品原価 前月繰越
直接材料費 材料
直接労務費 労務費
直接経費 経費
製造間接費 製造間接費
完成 製品
仕掛中 次月繰越

指図書別原価計算表の内容と仕掛品勘定の内容は同じです。

単純個別原価計算と部門別個別原価計算

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >単純個別原価計算と部門別個別原価計算

単純個別原価計算と部門別個別原価計算についてお伝えします。

単純個別原価計算と部門別個別原価計算

原価計算の流れは、以下のようなものだと個別原価計算でお伝えしました。

  1. 費目別計算
  2. 部門別計算(行わない場合もあります)
  3. 製品別計算

部門別計算を行わない場合があるとお伝えしましたが、部門別計算を行わない個別原価計算を単純個別原価計算、部門別計算を行う個別原価計算を部門別個別原価計算といいます。

単純個別原価計算

部門別計算を行わずに、工場全体の製造間接費を1つの基準で製品に配賦する個別原価計算を単純個別原価計算といいます
工場の規模が小さく、1つの部門で作業が行われる場合に使われます。

部門別個別原価計算

部門別計算を行い、工場全体の製造間接費を部門ごとの基準で製品に配賦する個別原価計算を単純個別原価計算といいます
工場の規模が大きく、複数の部門を製品が流れながら製造されるような場合に使われます。

作業くず

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >作業くず

作業くずについてお伝えします。

作業くず

製品を製造しているときに材料のくずが発生することがあります。
このくずが価値がないごみならば無視すればいいのですが、場合によっては価値がある場合があります。
鉄を削るときに発生する削りくず、布を切るときに発生する布の切れはしなどです。
このように製品を作る途中に発生するくずのうち価値があるくずを作業くずといいます

作業くずの処理の方法

作業くずは評価額(売却価値または利用価値)を見積もって原価から控除します。
この処理の方法は以下の2つがあります。

  • 作業くずが発生した部門の部門費から控除する方法
  • 作業くずが発生した製造指図書の製造原価から控除する方法

作業くずがどの部門で発生したのかが分かる場合は「作業くずが発生した部門の部門費から控除する方法」を使います。
逆に、作業くずがどの部門で発生したのかが分からない場合は「作業くずが発生した製造指図書の製造原価から控除する方法」を使います。

「作業くずが発生した部門の部門費から控除する方法」の場合は、作業くずが発生した部門の部門費が作業くずの評価額の分だけ少なくなることで作業くずが発生した部門の部門費から製造指図書に配賦される金額も少なくなります。
よって、その部門費から配賦される全ての製造指図書の製造原価に影響を与えます。

それに対して「作業くずが発生した製造指図書の製造原価から控除する方法」の場合は、作業くずが発生した製造指図書の製造原価が作業くずの評価額の分だけ少なくなります。
よって、作業くずが発生した製造指図書以外の製造指図書の製造原価には影響ありません。

ちなみに、単純個別原価計算を採用している場合には部門がないので「作業くずが発生した製造指図書の製造原価から控除する方法」を使うことになります。

作業くずの勘定科目

作業くずを売却できる場合には作業くずという勘定科目を使います。

逆に、作業くずに価値はあるけれど、売らずに材料として利用する場合は材料という勘定科目を使います。


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作業くずの仕訳の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >作業くずの仕訳の具体例

作業くず の仕訳の具体例についてお伝えします。

作業くずの発生した部門の部門費から控除する方法(作業くずは売却する場合)

「切削部門で作業くずが発生した。この作業くずの見積売却額は50,000円である。」場合の仕訳について考えてみましょう。

切削部門で作業くずが発生したと分かっているので、切削部門費から作業くずの発生額を控除します
よって『(貸)切削部門費50,000』となります。

次は借方です。
この作業くずは作業くずのまま50,000円で売却できるので『(借)作業くず50,000』となります。

まとめると、

(借)作業くず 50,000/(貸)切削部門費 50,000

となります。

作業くずの発生した製造指図書の製造原価から控除する方法(作業くずを売却する場合)

「作業くずが発生した。この作業くずの見積売却額は50,000円である。」場合の仕訳について考えてみましょう。

作業くずが50,000円発生したと書いてありますが、どの部門から発生したのかは書いてありません。
この場合、作業くずが発生した部門は分からないので製造指図書の製造原価から作業くずの発生額を控除します
よって『(貸)仕掛品50,000』となります。

次は借方です。
この作業くずは作業くずのまま50,000円で売却できるので『(借)作業くず50,000』となります。

まとめると、

(借)作業くず 50,000/(貸)仕掛品 50,000

となります。

作業くずの発生した部門の部門費から控除する方法(作業くずは再利用する場合)

「切削部門で作業くずが発生した。この作業くずの材料としての価値は50,000円である。」場合の仕訳について考えてみましょう。

切削部門で作業くずが発生したと分かっているので、切削部門費から作業くずの発生額を控除します
よって『(貸)切削部門費50,000』となります。

次は借方です。
この作業くずは50,000円分の材料として再利用できるので『(借)材料50,000』となります。

まとめると、

(借)材料 50,000/(貸)切削部門費 50,000

となります。

作業くずの発生した製造指図書の製造原価から控除する方法(作業くずは再利用する場合)

「作業くずが発生した。この作業くずの材料としての価値は50,000円である。」場合の仕訳について考えてみましょう。

作業くずが50,000円発生したと書いてありますが、どの部門から発生したのかは書いてありません。
この場合、作業くずが発生した部門は分からないので製造指図書の製造原価から作業くずの発生額を控除します
よって『(貸)仕掛品50,000』となります。

次は借方です。
この作業くずは50,000円分の材料として再利用できるので『(借)材料50,000』となります。

まとめると、

(借)材料 50,000/(貸)仕掛品 50,000

となります。

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  • 作業くずについて確認したい方は
    作業くず

仕損

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >仕損

仕損についてお伝えします。

仕損

仕損(しそんじ)とは、加工に失敗することをいいます。
「急いてはことを仕損じる」ということわざに出てくる「仕損」と同じです。

仕損費(しそんじひ)は、その失敗によって発生した費用(損失)のことをいいます。
また、仕損品は、仕損によってできた不良品のことをいいます。

要するに失敗です。
製品の製造に失敗した場合、通常の製品と同じ価値にはなりませんが、価値が全くないわけでもありません
仕損に関しては、この事実を適切に表せるように仕訳を切ることになります。

仕損の仕訳の具体例

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >仕損の仕訳の具体例

仕損 の仕訳の具体例についてお伝えします。

仕損の発生

「A製品について仕損が発生し、補修を行った。この補修には材料80,000円と労務費50,000円が消費された。」場合の仕訳について考えてみましょう。

材料80,000円と労務費50,000円が消費されているので『(貸)材料80,000』『(貸)労務費50,000』となります。

次は借方です。
仕損じているとはいえ、この時点では製造中の製品なので仕掛品として処理しておきます。
金額は(80,000円+50,000円=)130,000円となります。
よって『(借)仕掛品130,000』となります。

まとめると、

(借)仕掛品 130,000/(貸)材料  80,000
           /(貸)労務費 50,000

となります。

仕損費勘定への振替

「上記の補修費用130,000円を仕損費として計上した」場合の取引と仕訳について考えてみましょう。

補修費用は失敗を補修するために仕方なく行った作業なので、仕掛品勘定としておくわけにはいきません。
仕損費として計上する必要があります。
よって、仕掛品勘定を仕損費勘定に振り替えます。
金額はもちろん130,000円です。

よって

(借)仕損費 130,000/(貸)仕掛品 130,000

となります。

仕損費を直接経費として処理

「上記の仕損費をA製品に賦課した」場合の仕訳について考えてみましょう。

直接経費として賦課するということはA製品のみに関する補修作業ということなので、この仕損費はA製品の製造原価に上乗せされます。
よって、仕損費を仕掛品に振り替えることになります。

よって

(借)仕掛品 130,000/(貸)仕損費 130,000

となります。

仕損費を間接経費として処理

「上記の仕損費を間接経費として配賦した」場合の仕訳について考えてみましょう。

間接経費として配賦するということは、この仕損費は製造間接費として各製造指図書に配布されるということです。
よって、仕損費を製造間接費に振り替えることになります。

よって

(借)製造間接費 130,000/(貸)仕損費 130,000

となります。

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総合原価計算(概論)

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簿記(TOP) >工業簿記2級 >総合原価計算(概論)

種類の異なる製品をオーダーメイドで受注生産する企業で使われるのが個別原価計算 です。
それに対して、同じ種類の製品を大量に生産する企業で使われるのが総合原価計算です。
今回から総合原価計算についてお伝えします。

総合原価計算(概論)

総合原価計算は、原価計算期間の完成品原価を全体で計算します。
そして、その全体で計算された完成品原価を完成品数量で割ることで完成品の単価を求めます。

製品原価を計算する流れは以下のようになります。

  1. 原価計算期間に生じた全ての原価要素を集計して当月製造費用を計算する
  2. 1で計算した当月製造費用に月初仕掛品原価を加えて総製造費用を計算する
  3. 月末仕掛品原価を計算して総製造費用から引くことで完成品原価を計算する
  4. 完成品原価を完成品数量で割って製品単価を計算する

月初仕掛品は前月末の時点で製作途中となっている製品(未完成品)です。
月末仕掛品は当月末の時点で製作途中となっている製品(未完成品)です。

月初仕掛品原価+当月製造費用-月末仕掛品原価=完成品原価

という式が成り立ちます。
この式は商業簿記で出てきた売上原価を計算する式

期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高=売上原価

と全く同じ考え方で立てられています(詳しくは売上原価の計算 をご覧ください)。

総合原価計算における勘定連絡図

総合原価計算を勘定連絡図で表すと下のようになります。

暗記不要の簿記独学講座-勘定連絡図11

総合原価計算と一口に言ってもいろいろな形があるので、全てこのような形になるわけではありません。
最も単純な形をここではご紹介しています。
総合原価計算における原価の流れを勘定連絡図でイメージしておいてください。

月末仕掛品の評価

月末仕掛品原価がいくらになるのかを計算することを月末仕掛品の評価といいます。

月初仕掛品原価+当月製造費用-月末仕掛品原価=完成品原価

上の式で完成品原価を計算するのですが、この式から「月末仕掛品原価の金額が変われば完成品原価も変わる」ということが分かります。
そのため、月末仕掛品の評価が重要となってきます。

月末仕掛品の評価については次回以降詳しくお伝えします。

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