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補助部門費の製造部門への配賦(第2次集計)
について具体例を使ってお伝えします。
今回は相互配賦法(簡便法)についてお伝えします。
(A)各部門費
- 部門費合計 443,500円
- 切削部門費 168,000円
- 組立部門費 164,500円
- 動力部門費 38,000円
- 修繕部門費 73,000円
(B)補助部門費の配賦基準
- 動力部門費の配賦基準:機械時間
- 修繕部門費の配賦基準:修繕時間
配賦基準 |
切削部 |
組立部 |
動力部 |
修繕部 |
機械時間 |
900時間 |
600時間 |
250時間 |
400時間 |
修繕時間 |
1,000時間 |
1,000時間 |
920時間 |
360時間 |
補助部門費の製造部門への配賦は相互配賦法(簡便法)とする。
部門費振替表
上の資料をもとに部門費振替表を作成してみましょう。
部門費振替表は上のようになります。
部門費合計の段の金額は資料をそのまま記入します。
問題はその下からになります。
第一次配賦
動力部門費の配賦
動力部門費38,000円を切削部門と組立部門と修繕部門に配賦します。
相互配賦法(簡便法)なので動力部門が修繕部門に供給した分もきちんと考慮します。
ただし、動力部門が動力部門に供給した分は無視します。
つまり、資料(B)の機械時間の段の動力部250時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、動力部門費は切削部門と組立部門と修繕部門の配賦基準の比で分けられることになります。
- 機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)=修繕部門費38,000円÷(切削部の機械時間900時間+組立部の機械時間600時間+修繕部の機械時間400時間)
- 切削部門に配賦する動力部門費(18,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×切削部の機械時間(900時間)
- 組立部門に配賦する動力部門費(12,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×組立部の機械時間(600時間)
- 修繕部門に配賦する動力部門費(8,000円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(20円/時)×組立部の機械時間(400時間)
となります。
修繕部門費の配賦
修繕部門費73,000円を切削部門と組立部門と動力部門に配賦します。
相互配賦法(簡便法)なので修繕部門が動力部門供給した分もきちんと考慮します。
ただし、修繕部門が修繕部門を修繕した分は無視します。
つまり、資料(B)の修繕時間の段の修繕部360時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、修繕部門費は切削部門と組立部門と動力部門の配賦基準の比で分けられることになります。
- 修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)=修繕部門費73,000円÷(切削部の修繕時間1,000時間+組立部の修繕時間1,000時間+動力部の修繕時間920時間)
- 切削部門に配賦する修繕部門費(25,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)×切削部の修繕時間(1,000時間)
- 組立部門に配賦する修繕部門費(25,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)×組立部の修繕時間(1,000時間)
- 動力部門に配賦する修繕部門費(23,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(25円/時)×組立部の修繕時間(920時間)
となります。
後は、それぞれの動力部門費と修繕部門費を合計して第一次配賦計とします。
第二次配賦
第二次配賦は直接配賦法と同じになります。
動力部門費の配賦
動力部門費23,000円を切削部門と組立部門に配賦します。
直接配賦法と同じなので動力部門が修繕部門に供給した分は無視します。
また、動力部門が動力部門に供給した分も無視します。
つまり、資料(B)の機械時間の段の動力部250時間と修繕部400時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、動力部門費は切削部門と組立部門の配賦基準の比で分けられることになります。
- 機械時間1時間あたりの動力部門費(15.333…円/時)=修繕部門費23,000円÷(切削部の機械時間900時間+組立部の機械時間600時間)
- 切削部門に配賦する動力部門費(13.800円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(15.333…円/時)×切削部の機械時間(900時間)
- 組立部門に配賦する動力部門費(9,200円)=機械時間1時間あたりの動力部門費(15.333…円/)×組立部の機械時間(600時間)
となります。
機械時間1時間あたりの動力部門費が割り切れていませんが、それぞれの動力部門費の段階ではきちんと整数で金額が求まっています。
このような出題もあるので、割り切れなかったからといって計算ミスだとは必ずしも言えません。
修繕部門費の配賦
修繕部門費8,000円を切削部門と組立部門に配賦します。
直接配賦法と同じなので修繕部門が動力部門を修繕した分は無視します。
また、修繕部門が修繕部門を修繕した分も無視します。
つまり、資料(B)の修繕時間の段の動力部920時間と修繕部360時間は0時間だとして考えるということになります。
この結果、修繕部門費は切削部門と組立部門の配賦基準の比で分けられることになります。
- 修繕時間1時間あたりの修繕部門費(4円/時)=修繕部門費8,000円÷(切削部の修繕時間1,000時間+組立部の修繕時間1,000時間)
- 切削部門に配賦する修繕部門費(4,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(4円/時)×切削部の修繕時間(1,000時間)
- 組立部門に配賦する修繕部門費(4,000円)=修繕時間1時間あたりの修繕部門費(4円/時)×組立部の修繕時間(1,000時間)
となります。
後は、それぞれの動力部門費と修繕部門費を合計して第二次配賦計とします。
その後、切削部と組立部の「部門費合計」「第一次配賦計」「第二次配賦計」を合計して製造部門費合計の段の切削部と組立部の金額を求め、それらを加えて合計の段の製造部門費合計の金額を求めます。
補助部門費を製造部門へ配賦する仕訳
上の例題の仕訳について考えてみましょう。
第一次配賦では補助部門費を製造部門と自分以外の補助部門に配賦します。
製造間接費の各部門に集計(第1次集計)の仕訳は
(借)切削部門費 168,000/(貸)製造間接費 443,500
(借)組立部門費 164,500/
(借)動力部門費 38,000/
(借)修繕部門費 73,000/
となっています。
この中の『(借)動力部門費38,000』を切削部門に18,000円、組立部門に12,000円、修繕部門に8,000円振り替えるので
(借)切削部門費 18,000/(貸)動力部門費 38,000
(借)組立部門費 12,000/
(借)修繕部門費 8,000
となります。
同様に『(借)修繕部門費73,000』を切削部門に25,000円、組立部門に25,000円、動力部門に23,000円振り替えるので
(借)切削部門費 25,000/(貸)修繕部門費 73,000
(借)組立部門費 25,000/
(借)動力部門費 23,000
となります。
これまでの仕訳をまとめると、
(借)切削部門費 211,000/(貸)製造間接費 443,500
(借)組立部門費 201,500/
(借)動力部門費 23,000/
(借)修繕部門費 8,000/
となります。
動力部門費と修繕部門費は一度他の部門に配賦されたのですが、他の補助部門からもう一度配賦されてきているので金額が0になっていません。
そこで、もう一度補助部門を配賦しなければなりません。
相互配賦法(簡便法)では、2回目の配賦は直接配賦法と同じになるので、2回目の配賦で補助部門の金額は0になります。
第二次配賦では『(借)動力部門費23,000』を切削部門に13,800円、組立部門に9,200円振り替えるので、
(借)切削部門費 13,800/(貸)動力部門費 23,000
(借)組立部門費 9,200/
同様に『(借)修繕部門費8,000』を切削部門に4,000円、組立部門に4,000円振り替えるので
(借)切削部門費 4,000/(貸)修繕部門費 8,000
(借)組立部門費 4,000/
となります。
また、これらの仕訳をまとめて、
(借)切削部門費 60,800/(貸)動力部門費 38,000
(借)組立部門費 50,200/(貸)修繕部門費 73,000
としても構いませんが、ここまでまとめることはあまりありません。
この仕訳を切った結果、動力部門費と修繕部門費の勘定がなくなり、全てが切削部門費と組立部門費に配賦されていることを確認しておいてください。
補助部門費を製造部門に配賦する仕訳の勘定連絡図での流れ
上の仕訳を勘定連絡図で表すと下のようになります。
かなり入り組んでいますが、勘定がどのように流れているのかをきちんと理解しておくことが大切です。
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